「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」展世田谷美術館

先日、世田谷美術館へ「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」展を見に行きました。

美術館までは、田園都市線用賀駅から瓦敷きのプロムナード(設計:象設計集団)を歩きます。

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やはり水のある風景は良いですね。癒されます。

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この美術館、久しぶりに訪れましたが、細部まで心をこめて造られている素敵な建築ですね(設計:内井昭蔵)。

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アンリ・ルソーは素朴派を代表する画家。
展覧会の名の通り、必ずしもルソーの作品ばかりではなく、彼に影響を受けた画家の作品も展示してあります。
私の大好きな松本竣介の作品も展示されていました。
「立てる像」「議事堂のある風景」「Y市の橋」等を久しぶりに見ることが出来、実に嬉しい誤算です。
なるほど言われて見れば竣介の描く樹木や黒い人影には、間違いなくルソーの強い影響が感じられます。
出口付近には、やはり私の好きな有元利夫の作品が3点ほどありました。

この展覧会、なかなか良い絵が揃っていました。
特に竣介ファンの方にはお勧めです。

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素材を考える・木―6「加工する」

木材には欠点もあります。腐る、変形する等です。
それらを改良すべく、前世紀以降、様々な二次加工品が発明されてきました。
合板などのボード類(薄板を重ね合わせたものや木材チップを固めたもの等)、集成材、などなど。
今やこれらは建築には欠かせない大切な材料となっています。
写真は「土蔵のある家」、屋根に構造用合板と杉板を組み合わせて用いています。

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鍛冶屋-木工具の今と昔」さんのブログ記事「木製カメラ」によると、最近カメラのボディーに圧縮成形加工した木材を利用する技術が開発されたそうです。
こうした最先端技術が建築の世界へ導入されるには少々時間がかかりそうですが、将来は思ってもみなかった木材の使い方が出来るかもしれませんね。

(写真:小野吉彦 2006年10月14日 家づくりの会HP「建築家と話そう」より転載 一部加筆修正)

素材を考える・木―5「剥ぐ」

木材は薄く剥ぐことも出来ます。
曲げわっぱ、経木、箱根細工などに利用されていますね。
数奇屋建築に用いられる杉や桐による網代天井もお馴染みの材料です。
天然木化粧合板の表面には厚さ1ミリ以下に剥いだ木材を張り付けています。

写真の建物「肥前国庁跡資料館」では桧による格子組を構造に用い、その間に杉の薄板をガラスで挟んで嵌め込んでみました。

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幻想的な光で、なかなか良いものですよ。

(2006年10月11日 家づくりの会HP「建築家と話そう」より転載 一部加筆修正)

続・一年点検

肥前国庁跡資料館を後にし、高速バスで福岡空港へ。
ここ数日会社に泊まり込んでいたので、もう4日も風呂に入っていない、クッセェ~。
その上この日は季節はずれの暑さ、三つ揃いのスーツを着ていたので汗ビッショリ……。

とりあえず空港ビルで豚骨ラーメン(餃子付)を食べました。コレハ欠カス訳ニハイカナイノダ。
ラーメンでさらに汗をかき「あぁ、ひと風呂浴びたいなぁ」と思っていたら、福岡空港の有料ラウンジにシャワー室を発見!
利用料金840円なり。少々高いとは思いましたが、我慢出来ずに利用してみました。
鏡台付きの個室は広く、鍵がかかるので荷物も安心、タオル・石鹸付きでドライヤーも貸してくれます。
さらにシャワーブースも1畳強の広さと、なかなか快適です。

シャワーを浴びて缶ビールを飲んだら、えらく酔っ払ってしまいました。とても眠くなったので早々に搭乗口へ。
するとゲート内にもカウンター形式の軽食のお店が。
「せっかくだからゴボウ天ウドンも」とまた食べてしまいました。酔いによる感覚の麻痺。

ちょっと食べ過ぎたぁ、ベルトが締まらん……。

素材を考える・木―4「曲げる」

緩やかな曲線の場合には、木材を曲げて用います。
小さな部材ならば人力で曲げて適切なカーブを作り出すことが出来るのです。
写真はあるお寺の小さな門(拙作)。

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下は工事前に大工さんが作った原寸模型です。

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切妻屋根の鬼瓦から外側は箕甲(みのこう)と呼び、少し勾配を付けるのが慣例です。
この部分は軒反りとの関係から3次曲面になり難しい仕事になりますが、木材の弾力性を利用して巧みに解決しています。

(2006年10月11日 家づくりの会HP「建築家と話そう」より転載 一部加筆修正)

一年点検

先日、肥前国庁跡資料館の一年点検に行ってきました。
小一時間ほど、ひと通り点検をして、その後不具合部分の対策について打合せをしました。
利用者の評判はなかなか良いとのこと、関わった者としては嬉しい限りです。
中にはオシャレなお蕎麦屋さんと間違えて入ってくる人もいるとか……(苦笑)
その後雑談中に、市の担当であるMさん(竣工後に市町村合併があった為初対面)が
「山本さんのブログ(コレのこと)を拝見しましたヨ」
とおっしゃり、ビックリ!!
やはりブログには下手なコトは書けませんね!
皆様もお気をつけください(笑)

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隣りの畑でコスモスが綺麗に咲いていました。

素材を考える・木―3「削る」

伝統的な日本建築は軒線の美しさが命、といわれます。
屋根が端部に向かって反り上がっている様子は実に美しいですね。
こうした曲線は、軒先の部材を削り出して作ります。
容易に削ることのできる木材の特性を巧みに利用しているのです。

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写真は拙作「鞠智城長者山展望広場休憩所」の工事風景です。
地垂木(じだるき)の上に木負(きおい)という部材を取り付けたところ、この上に飛檐垂木(ひえんだるき)がのります。
木負が隅に向かって緩やかな曲線を描きながら反り上がっているのが分かります。

(2006年10月11日 家づくりの会HP「建築家と話そう」より転載 一部加筆修正)

素材を考える・木―2「組む」

細い木材であっても、組むことで頑強な架構を作ることが出来ます。
各地に残る古い寺社や民家にその美しい実例がたくさんありますね。
組み合わせる木材どうしの断面欠損を減らす為、仕口・継手(しぐち・つぎて)と呼ばれる様々な工夫を先人達が考えてきました。
我が国が世界に誇る文化と言えましょう。

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写真は拙作「Y邸」(福島県)の小屋組です。
敷き桁と陸梁とは渡りアゴという段差を付けた仕口で納め、隅木や合掌など部材が集中するところではカブラ束(八角形断面の柱状の部材)を仲介させ、
各部材の断面欠損を減じています。

(2006年10月11日 家づくりの会HP「建築家と話そう」より転載 一部加筆修正)

素材を考える・木―1「積む」

今回は家づくりに馴染みのある木材についてお話します。
木は、柔らかく加工しやすい上に強度もある、実に優れた素材です。使い方さえ誤らなければ、耐久面ではコンクリートや鉄にも優ります。
実際にはどのような用い方ができるでしょうか?

ログハウスのように丸太をそのまま積み重ねる方法があります。
これは最も単純で簡単ですから、人類が木材を建築に利用する際、最初に思い付いた方法かもしれませんね。
木材は繊維に対して横からかかる力には弱く、またこの方向が一番乾燥収縮するので、積んだ場合は必ず沈下します。
そのことさえ踏まえておけば、様々な応用が出来るでしょう(博物館等の収蔵庫にはこの方法がよく用いられています)。

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写真は拙作「肆木の家2」(福島県・広瀬鎌二と協働)の浴室壁にサワラの角材を積んで用いたものです。

(2006年10月10日 家づくりの会HP「建築家と話そう」より転載 一部加筆修正)

追悼 丹波哲郎さん

俳優の丹波哲郎さんが亡くなりました。
学校を出て最初に勤めたアトリエ海のボス・塩脇裕さんが任侠映画マニアで、
洗脳された私は、休みの日にしばしば新宿昭和館へ古いヤクザ映画を見に行っていました。
丹波さんは、菅原文太さんや梅宮辰男さんの主演映画にも数多く出演されていたんですね。
若い頃の丹波さんもとても格好良かった。
英語に堪能だそうで、「007は二度死ぬ」にもボンドを助ける日本人役で出演されていましたね。
我々の世代は「キーハンター」での帽子投げや「Gメン75」で並んで歩くお姿が強く印象に残っています。
享年84歳とのこと、ウチの父よりも年長だったんだなぁ……。
心よりご冥福をお祈りいたします。