残暑お見舞い申し上げます。
いよいよ暑さが本番をむかえますが、どうぞご自愛ください。
平成19(2007)年夏
山本成一郎
残暑お見舞い申し上げます。
いよいよ暑さが本番をむかえますが、どうぞご自愛ください。
平成19(2007)年夏
山本成一郎
7月7日から2日間、京都鴨川建築塾の飛騨高山旅行に飛び入りで参加させていただきました。
東海道新幹線で名古屋へ出て、特急ひだ3号に乗り換え高山へ。
電車はずっと川沿いを走ります。窓外の景色が美しく、見ていて飽きることがありません。
ちょうどお昼時に高山に到着、駅前で飛騨ラーメンなるものを食べました。あっさりした醤油味でなかなか美味。
そして今日の見学先、オークヴィレッジへ。
オークヴィレッジは家具で非常に有名ですが、数々の美しい建築も作っています。
チーフアーキテクトである上野英二さんに各施設を案内、説明していただきました。
原材料である材木の確保・乾燥等から設計・施工までを一環して自社で行うというのは容易なことではありません。
大変なご苦労がおありと想像します。
そのようなきちんとしたプロセスを経て常に美しい建築・家具を作り出している姿勢には脱帽です。
塾生の皆さんが驚いたのは家具工場の清潔さです。まさにチリひとつない状態。
加工で発生した木くずは袋詰めにして、近所の家畜の寝床に敷くそうです。つまり一切焼却処理はしないとのこと。
様々な樹種の材木が天日乾しされています。
木材の乾燥窯です。
写真はありませんが、漆工房もありました。
その後、設計室へお邪魔し実施設計図面や模型などを拝見。細部まで書き込まれた高密度且つ分厚い図面の数々に、これまた脱帽。
設計室の下階が建築の加工場になっており、大工さんが作業をしていました。
図面で分からないことがあると、階段を昇って設計者に聞きに行けるので大変便利だそうです。勿論その逆も然り。
最後にショールームと森の博物館を見学しました。
面戸板(注)にガラスを用いてあり、それが実に効果的です。
ザックリとした外壁も魅力的です。
下は上野さんと棟梁による原寸模型の組み立て実演。
その後、上野さんが
「オークヴィレッジとしては飛騨高山で育まれてきた木材と技術(伝統木造構法)にこだわった家作りをしていきたい。
しかし我々のような絶滅危惧種にすら国は法律による圧力をかけてくる。
法規制は理解できないわけではないが、すべて一律に規制するのは如何なものか。伝統構法という選択枝があってもよいではないか」
という主旨のお話をしてくださいました。
日頃私が思っていることと全く同じお考えだったので、とても感激しました。
(つづく)
(注)面戸板とは、垂木と垂木との間に出来る隙間をふさぐ板。通常は木材を用いる。
筥崎宮のことを書いて香椎宮に触れないわけにはまいりません。
話は少し前のこと、4月半ばの壱岐出張時、帰りの飛行機までの時間を利用して香椎宮を訪れました。
この神社は香椎造という独特の様式とのことで、本殿は国の重要文化財に指定されています。
以前から一度訪れてみたいと思っていたのでした。
博多から電車を乗り継ぎ香椎神宮前駅で下車、歩いて3分ほどで参道に到着しました。
鳥居をくぐると大きな池があり、満開の桜の下お花見をしている人達がいます。クスノキの新緑も綺麗です。
到着したのは午後5時を回っていたのですが、そこは日の長い九州のこと、日没を気にせずゆっくりと参拝することが出来ました。
7月18日、建主さんとの打合せで博多へ行ってきました。
一泊した翌日、帰りの飛行機までの時間を利用して放生会で有名な筥崎八幡宮(はこざきはちまんぐう・本殿・拝殿が重要文化財)へ。
一の鳥居(重文)は、太っちょで愛らしい形です。
山形県にある元木の石鳥居(凝灰岩で出来ており日本最古といわれる)を思い出しました。
石の継ぎ手が木造建築のようです。
楼門(重文)が台風で破損したとのことで修理工事中。早く修復されるとよいですね。
ついでに参道脇にある筥崎宮花庭園も見物。
門番もおらず、入口脇の木箱に入園料100円を放り込むシステム。こういうザックバランな感じは大好きです。
この日の博多は快晴。クマゼミがガシガシ鳴いています。
他に訪問者は一人もいません。貸切状態でゆっくりと庭園散策を楽しみました。
帰りの飛行機は窓側の席だったので、ぼんやりと雲を眺めながら帰ってきました。
最近のジメジメした天気とはうって変わり、今日は快晴。
写真は、弊社から眺めた目黒不動尊の杜です。
ミンミンゼミも鳴き始めました。
ヤツらが出てきたということは、どうやら梅雨明け、私の大好きな夏到来です。
旅行最終日である11月13日、楢村徹さんにもご同行いただき、まずは「内山邸/サロン・ド・ヴァンホー」(設計:楢村徹)を見学、しかし写真は無いののだ……。
その後、修理工事中の吉備津神社(国宝)を見学しました。
先に書いた通り私はデジカメの電池を使い果たしてしまい、指をくわえて皆さんが撮影する様子を眺めていた訳ですが……
しかし!
日頃の行いがすこぶる良い(酔い?)ものですから、神様が降臨されたのであります。
その名は倉島和弥さん(別名rabiさん)、イェ~~イ♪
偶然にも全く同じデジカメをお持ちのrabiさんが電池を恵んでくださり、滅多に見ることの出来ない桧皮葺き替えの様子を撮影することが出来たのでした。
rabiさん、私は一生あなたの下僕ですm(_ _)m
その後、閑谷学校(国宝)へ。
石積みの塀や山の造成が独特です。韓国慶州の古墳群を思い出させます。
土蔵の白壁に樹の陰が落ちている様がなんとも美しいですね。
屋根瓦は備前焼きだそうです。
さらにその後は兵庫県にある浄土寺浄土堂(国宝)を見学。
これは言わずと知れた日本建築の名作。以前カーサ・ブルータス誌にも書きましたが、私にとっては国内ナンバー1の古建築です。
残念ながら写真撮影禁止のため画像はありません。
訪れたのがちょうど夕暮れ時、ゆっくりと西方浄土を再現した空間にひたってきました。
これにて家づくりの会・倉敷建築ツアーは終了です。
言葉に表せないくらい充実した旅行でした。
企画を担当された川口通正さんとご協力いただいた古民家再生工房の皆様へ心より御礼申し上げます。
(終わり)
ずいぶん間が空いてしまいましたが、昨秋の倉敷旅行記の続きです。
06年11月12日、神家昭雄さん設計の「MTT社屋」を見学後、続いて古民家再生工房の全員が共同設計した「五十橿舎(いかしのや)」を訪れました。
下は同工房メンバー建築家・佐藤隆さんから説明を受ける家づくりの会の面々。
ここから同工房メンバー建築家・矢吹昭良さんと大隈雄三さんのお二人にご同行いただき、鏡野町の奥津湖(苫田ダム建設でできた人造湖)畔にある観光施設「赤壁」(設計:矢吹昭良)へ。
必ずしも和風にとらわれないグラフィカルな外観処理が矢吹さん流のようです。
雑誌で拝見した際には丸窓や中央扉脇の色漆喰等がいささか唐突な印象を受けていたのですが、実見すると違和感なく調和していました。
ここで見学がてら昼食をとり、続いて「奥津町商工会館」(設計:矢吹昭良)へ。
わざわざ建主と大工棟梁が出向いてくださり、建設時のお話を聞かせてくださいました。
ここでも土蔵の扉にはグラフィカルな模様が施され、壁には赤いタイルが斜めに張られています。
私はカルロ・スカルパ(注)のデザインに通ずるものを感じました。小粋で可愛らしい感じです。
続いて「黒谷の家」(設計:大隈雄三)へ。
広大な敷地に幾棟もの建物が配置されています。
建主ご夫妻からお話をうかがいながら、ゆっくり見学させていただきました。
ご夫妻の生活スタイルがなんともいえず優雅で、建築そのものも実に素晴らしかったのですが、ここでなんとデジカメの電池切れ!
あまりに悲し過ぎる……。
かろうじて美しい屋根のみ写すことが出来ました。
日没後、さらに大隈さんの設計アトリエも見学させていただき(これまた実に素敵でした)、そして今宵の宿はアイビースクエア(設計:浦辺鎮太郎)という名建築漬けの一日。
にもかかわらず後半の写真は全く無い……。
夜はひたすらヤケ酒をあおり続けた私でありました……。
(注)カルロ・スカルパ(1906~1978)はイタリアの建築家。代表作に「カステルヴェッキオ美術館」「オリベッティ・ショールーム」「ブリオン家墓地」などがある。
6月24日(日)、東京の木で家を造る会の住宅見学会がありました。
建主・O夫人と一緒に参加すると、そこにはテレビ番組の取材陣が!
O夫人と私がお話している様子をシッカリ撮影されてしまいました。
困った、ついにテレビデビューか……。
番組を見て、ジャニーズ事務所がスカウトに来たらどうしよう?
ジャニーズ・シニアとかあるんだろうか?
やはり「僕はバック転が出来ないので何卒ご容赦ください」と言って丁重にお断りしなければ……
などと妄想にふけりつつ、池上へ移動。
この日は家づくりの会のお仲間・建築家の水口裕之さんの新作オープンハウスでもあるのでした。
水口さんの作品は、白と黒の対比を強調した実に明快な構成。
こういう作風は私の好むところであります。
私のヘボ写真やコメントより、ご本人が連日ブログで解説しておられますので、そちらをご覧ください。
この日はあいにくの雨模様、気温も低く、半袖のシャツでは寒いくらい。
帰りに本門寺へ寄り、近年解体修理された五重塔(重要文化財)もついでに見物してきました。
境内には力道山のお墓もあるそうですよ。
6月11日、コンサートに行きました。
芸術音痴のはずの父がどういうわけか券を入手し、「自分は都合により行けないので、お前にやる」と回って来たものです。
もちろん私にとっては願ってもない話。
ノルディック管弦楽団とゲスト(トランペットのオーレ・エドワルド・アントンセンさん、ピアノの今川映美子さん)の共演です。
演目は以下の通り。
ラーション トロンボーンの為のコンチェルティーノ作品45の7
リンドバーグ トランペット協奏曲「アクバンク・ブンカ」(日本初演)
メンデルスゾーン ピアノ協奏曲第2番ニ短調作品40
シベリウス 即興曲「春の歌」作品16
ベートーベン 交響曲第7番イ長調作品92
最初の曲で素晴らしいトロンボーンを聴かせてくれたクリスチャン・リンドバーグさんは、同楽団の首席指揮者でもあります。
2曲目はそのリンドバーグさん自身の作曲。民族調メロディあり、現代音楽調あり、ジャズ調あり、と変化に富んだ魅力的な作品でした。
そして何よりもリンドちゃん(私が付けたリンドバーグさんの愛称、以下同じ)の指揮棒を振る仕草がとてもチャーミングなのです。
舞台衣装も素敵で(お色直し2回)、気が付けば私は、リンドちゃんの虜になっていました(笑)。
早速休憩時間にホワイエでCDを物色したところ、買った人には公演終了後にサイン会に参加出来る特典があるとのこと!
当然CDを購入、終演後サイン会に参加しました。
アーティストと直接触れ合えるこのような機会に言葉が通じないのは悲しいですね。
喋れないならばせめてもと精一杯の微笑みをリンドちゃんに送ったところ、気持ちが通じたのでしょうか、満面の笑みを返してくれ、さらには握手までしてくれました。
クラシック音楽には極めて造詣の浅い私ですが、いずれの曲もとても心地よく、よい気分転換になりました。
先に書いた通り、4月の末、九州から上京されたアニキ達ご一行を接待しました。
勝手にアニキとか呼んでいますが、この方々には、私が広瀬研究室勤務時に担当した西都原古代生活体験館の工事中、大変お世話になったのです。
Kさんがゼネコンの現場監督、K女史は同社の設計者、Hさんは材木屋さんです。
以来、年末に宮崎での忘年会に呼んでいただいたり、私の仕事を見に来ていただいたりと、ずっとお付き合いが続いています。
ちなみに下が西都原古代生活体験館(設計:広瀬鎌二+文化財保存計画協会)。
さて、先日どうしても仕事の都合がつかず上京できなかったアニキの一人、Tさんから一昨日荷物が届きました。
開けてみると宮崎の美味しいものが沢山♪
包装に時の人、東国原知事の似顔絵が描かれているものも。
誠にありがたいことです。
会社の皆でオヤツに頂きましょう。
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