さらば、ゴボウ天うどん、豚骨ラーメン

昨年の夏から長崎県壱岐へ仕事で通っています。
日帰りも可能ですが、打合せ時間が短くなってしまうので、通常は前日の夜に博多に泊まり、当日朝一番(8:00発)のジェットホイールに乗り、夕方まで打合せして帰京します。
この時の私のささやかな楽しみは、博多でゴボウ天うどん又は豚骨ラーメンを食べることです。

一昨日の夜、21:30頃福岡空港に到着、地下鉄に乗って博多駅構内の店でゴボウ天うどんを食べようと楽しみにしていました。
しかし店は21:00で閉店していました……。

仕方が無い、先にホテルに荷物を置いて、屋台でラーメンでも食べようかな、と歩いていると、携帯電話が鳴りました
協働している土木設計のMさんから「天神のいつものおでん屋(屋台)で待っているよ」とのこと。
うぅ、今日は酒を飲まずに早く寝たかったのに……。
付合いの良さでは天下一品の私は、ホテルへ荷物を放り込みタクシーで屋台へ急行しました。
その後、統括会社のO氏も合流、屋台で飲んだ後、もう一軒。1:00過ぎまで飲んで、タクシーでホテルへ帰りました。
ラーメンどころか、まともにツマミも食べられず……。

案の定、翌朝は二日酔いです。打合せ場所に着く頃まで赤い顔をしておりました。
幸いなことに、打合せは予定より早く終わり、協働メンバー全員が、普通のフェリーで帰ることにしました。
時間はジェットホイールの倍くらいかかりますが、とても好い天気で(九州地方は梅雨明け)、甲板から景色を眺めたり、ビールを飲んだりしながら心地よい一時を過ごしました。

博多港に着くや、統括会社社長で大先輩のYさんが、「一番早い飛行機に乗ろう!」と言い出し、フェリーを走って下船、タクシーに飛び乗らされました。
都市高速を使って空港へ直行、チケットの時間変更をしたのが、飛行機出発の15分前!
もう食事をする間もありません。
福岡空港の3階には、うどん屋もラーメン屋もあるのに……。
あぁ……、さよなら……。

結局今回の出張ではゴボウ天うどんも豚骨ラーメンも食べることが出来ませんでしたとさ。

「A Broadleaf Tree House」 設計:松本直子

7月15日(土)、家づくりの会主催の住宅見学会で松本直子さんの新作「A Broadleaf Tree House」を訪れました。
この住宅は松本さんのご自邸です。
2つのボリュームの間を廊下・階段等で結び、中庭を配しています。
中庭を通してボリューム相互を眺めることが出来るので、家の中に距離感が生まれ実際より広く感じられますし、光や風の通り道としても有効です。

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建築家の自邸というと、他所では実現出来ない思い切った試みが為される場合が多いので、私もその辺りを特に注目していました。
拝見して感じたのは、そうした気負いは全く感じられず、極めて自然体であるということ。
強いて言えば、多種類の素材(主に木材)を自在に組み合わせることを積極的に試みているように感じました。
数種類の広葉樹材をモザイク状に散りばめたグラフィカルな壁面などがそのひとつでしょうか。

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和室も定型ではなく、松本流です。土壁、竹天井、背高の障子が独特の世界を造っています。

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この作品の特徴は、大まかなボリュームの中に個性的な要素を幾つも並置し、
それらが時には渾然一体となったり、時には反発し合ったりしている無国籍で不思議な、しかし実に心地良い世界を造っていることです。
松本さん独自の感性で選び出されたモノ達の競演といえるでしょう。

イタリア料理店「i~rottah イ・ロッタ」(目黒)

今年の春以来、月に一度は通っているお店です。
先週の木曜日、山形に住む親友が上京してきたので、一緒に夕食を食べに行きました。

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この男は元キックボクサー(プロ)。
こんな風体ですが、堅気の公務員です、念の為(笑)

ちなみにこの店のインテリアは、建築家・倉島和弥さんによるもの。
とにかくピザが最高!!
表面がカリッとしていて、口に入れるとモチモチの食感で、ファンも多いそうです。

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写真はマルゲリータ。
目黒へお越しの際は、是非ご賞味ください。

i~rottah イ・ロッタ
住  所   〒153-0064 東京都目黒区下目黒1-5-21 目黒DKウエスト1F
アクセス   目黒駅(JR・地下鉄南北線・東急目黒線)から徒歩4分
電  話   03(3779)1138
営業時間   11:30~14:00(月~金)
       17:30~22:00(月~土)
定 休 日     日曜・祝日

「Ze空庵」 設計:川口通正

6月29日(木)の午後、川口通正さんの新作「Ze空庵」を見学させていただきました。
既存の平屋部分と土蔵を残しつつ、息子さん世帯の住居を上手に連結させています。
既存部分との屋根の取り合いに大変苦労されたそうです。

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全体的に川口さんならではの「和」の空間です。特に軒や庇の使い方がとても上手だなぁ、と感心することしきり。

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2階の食堂は高さのある勾配天井に、木部を茶色に染め、壁を卵色の漆喰塗りにしたなんとなくリゾート風のインテリアです。

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この部屋で、建主のSさんからお酒をご馳走になってしまいました。
しかもSさんは、わざわざ川口さんの生年の1952年のワインを開封。
ドサクサまぎれに私もご相伴にあずかりました。ありがとうございます。
とても居心地が良く、幼いお嬢さんと遊んだりしながら、完全にくつろいでしまいました。

今後も既存部分の屋根替えをしたり、土蔵を塗り替えたりと少しずつ手を入れていく予定だそうです。
これはもはや一軒の家づくりを超えて、ひとつの町並みを造る仕事です。
今後のさらなる進化が楽しみですね。

「軽井沢新スタジオ」 設計:アントニン・レーモンド

建築家・濱田昭夫さんのご尽力で、レーモンドの「軽井沢新スタジオ」を見学することが出来ました。
当時のレーモンド設計事務所は、夏になると一部のスタッフがここへ移動し仕事をしていたそうです。
木立の中、赤い鋼板屋根が見えてきました。

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本来はこの上に、さらに茅が葺かれていました。
材料の入手難などから当面やむを得ず鋼板のままにしておられるそうです。茅葺きをするには、材料・職人とも確保するのが大変なのです。

中へ入るとあの有名な現場打ちのコンクリート暖炉が!

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その太っちょで愛らしい姿形にしばし見とれていました。
この暖炉はとてもよく燃えるそうです。

小屋組は一見、民家風で粗雑なものに見えますが、垂木の配り方などを見ると十分に検討されたことが分かります。

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レーモンド夫妻の寝室には2つのベッド(昼はソファーとして用い、夜は手前に引き出してベッドにするそうです)がありました。
とても質素な、しかし素敵な部屋ですね。

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暖炉の間には建築家自らデザインした家具が当時のまま置かれています。
椅子は一脚ずつ微妙に異なります。少しずつ改良を加えていったそうです。

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レーモンドからこの家を譲り受け、とても大事に維持されている現在の所有者(レーモンドのお弟子さんです)から、この家にまつわる沢山の興味深いお話をうかがいました。ありがとうございました。

優れた建築には人を突き動かす力があるんだ、ということを再認識した午後でした。

06年11月2日追記
スタジオ内に飾られていたレーモンドのスケッチが小林英治さんのブログに掲載されています。あわせてご覧ください。

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「脇田山荘」 設計:吉村順三

吉村順三の「脇田山荘」。これまでに数回、外から眺めたことはありますが、中へ入るのは初めてです。
とても期待していました。

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低く抑えた勾配天井の心地良さ。
見学に参加した家づくりの会の建築家達全員が幸せな気分に浸っていたはずです。皆さんいつもと違って寡黙でしたから(笑)。
紫色のカーペットが色・素材とも空間を引き締めています。木の色との調和も良し。

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平面計画の恣意的に思える屈折も、訪れてみると、ただただ気持ち良い……。

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上の写真は玄関脇のブラケットです。白熱灯を板で覆っただけの素っ気無いものです。
でも、この家にはよく似合っています。

期待にたがわず素晴らしい住宅で、あらためて建築家・吉村順三の凄さを思い知らされました。

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「旧三笠ホテル」(重要文化財)

小瀬温泉の旅館に一泊した翌日、「旧三笠ホテル」(1905年竣工)を見学しました。

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私はかつて函館で「旧金森洋物店」(現函館市立郷土資料館)の保存修理および活用工事のお手伝いをしたことがあり、
以来明治期の洋風建築には興味をそそられます。
このような様式建築は、一部の人々を除いて我国の建築界では敬遠されがちのようですが、図面を書いたり工事をするのはとても面白いのです。
もっともかなり根気がいりますが……。

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上の写真は上げ下げ窓の基本ディテール。釣り紐が見えています。

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カーテンやモールディングがお洒落。
天井には皮付きの白樺丸太を用いるなど軽井沢らしさも演出されています。

国宝や重要文化財の建造物を見ていつも思うのですが、活用されていなければミイラと同じです。
この建築も、是非ホテルとして営業再開してほしいと思います。
私だったら喜んで泊まるのですが……。

「聖パウロ教会」 設計:アントニン・レーモンド

吉村順三の「軽井沢の山荘」を見学した後、「聖パウロ教会」へ行きました。

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すると駐車場に1960年代初期型のビートル君を発見。
まったく関係ないですが、写真を撮らせてもらいました(オーナー様、ご容赦)。

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この教会はこれまで何度か訪れていますが、ヒューマンスケールというのでしょうか、実にちょうどよい大きさですね。
他宗教の場合、例えば仏堂でも、このくらいの規模が最適だと思います。

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隅木の下端を削いで軒先を軽快に見せながら、木口にはしっかり塗装を施してありました。

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先に書いた吉村順三の作品もそうですが、基本に忠実で、且つ、美しいのです。
私も、こういうものを目指さねばなりませんね。

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「軽井沢の山荘」 設計:吉村順三

6月24日、私が参加しているNPO法人家づくりの会の会合があり、泊りがけで軽井沢へ行ってきました。
その際、建築家・本間至さんのご尽力で、外観だけですが「軽井沢の山荘」を拝見するという望外の機会を得ました。
斜めから緩やかに登りながらのアプローチ、木立の中にふわりと浮かぶ木箱、などなど語りたいことは山ほどありますが、
もう何人もの方々によって語り尽くされた名作ですから、私のような若造はあえて何も申しません。

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それでも一言だけ。
意外であったのは、作品集を見て不規則かと思っていたコンクリート打放しの型枠の割付が、きっちり計算し尽くされていたことです。
粗野な風貌は意図的だったのですね!

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ともかく、何もかもが素晴らしい!
佇みながら、拙作「水盤のある家」は、知らず知らずこの作品に大きな影響を受けているなぁ、と感じていました(かなり僭越ですが、ご容赦)。

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コンサート

6月15日(木)に大久保の淀橋教会で行われた東京少年少女合唱隊のコンサートへ行ってきました。

この教会は鉄筋コンクリートのHPシェルを組み合わせた、現代的な美しさを持つ、非常に興味深い建築です(設計:稲富昭 構造:増田一真)。

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荘厳な雰囲気の中、宗教曲の合唱を聴くと、異教徒の私でも深く心を打たれます。
この日は寝不足だったので眠ってしまうことをとても恐れていたのですが、結局は最後まで夢中で聴いていました。
特に「赤とんぼ」(作曲:山田耕作)には、幼い頃の色々な思い出を呼び起こされ、涙を流しそうになる瞬間も。

元気を沢山頂いた一夜でした。