錣葺き

2011年の初夏、東京慈恵医科大学附属病院に入院中の父(故人)を見舞った際の一葉。

01(R0022167・20110628)トリミング縮小200×600・自然な彩度+25・コントラスト+25

こうして俯瞰すると、増上寺大殿は錣(しころ)葺き(注)である事がよく分かります。

(注)「錣葺き(しころぶき)」とは、古い屋根形状の一種。
寄棟屋根の上に切妻屋根を載せた形式で、両者が一体化していないのが特徴(一体となったものが入母屋屋根)。
実例としては法隆寺の玉虫厨子がある。

ちなみに錣(しころ)とは、兜や頭巾の下に垂らされた布等の覆いの事。
設計者の大岡實(1900〜1987)の言を同氏HP当該箇所から以下に抜粋します。

入母屋自体の形についても、私は玉虫厨子に見るような、いわゆる錣葺の屋根が意匠的に非常に優れていると考えている。
錣葺の場合、上方の部分は矩勾配(45°)に近く、下方の部分は四寸~五寸の緩い勾配で、その結果は、上方の屋根は屹立性が強く、鋭い感じを持っているが、周囲の勾配の緩い屋根が、これを受けて、安定感を与えるのに役立っているのであって、極めて巧みな意匠であり、今回も錣葺を採用した(「建築東京」より)