西新井大師へ参詣したのは、藤や牡丹の花を愛でる為だけでなく、大本堂を拝観したいとの目的があったからです。
この御堂は、1971年建立の鉄筋コンクリート造、すなわち現代の寺院建築。
設計者は大関徹(吉田五十八の弟子なのだそうな)、屋根は古代風の錣葺き(しころぶき)。(注)
寺院に付き物の伝統的な意匠をどのように現代的に翻案しているのか、とても興味があったのであります。
竣工当時は壁面から組物を出来るだけ省いたスッキリしたデザインが大いに歓迎されたのでしょう。
しかし50数年後の私の眼には、いささか淡白過ぎるように映ってしまいました。
(注)「錣葺き(しころぶき)」とは、古い屋根形状の一種。
寄棟屋根の上に切妻屋根を載せた形式で、両者が一体化していないのが特徴(一体となったものが入母屋屋根)。
実例としては法隆寺の玉虫厨子がある。
他にも増上寺大殿(大岡實の設計した現代寺院)も同じ屋根形状をしている。
ちなみに錣(しころ)とは、兜や頭巾の下に垂らされた布等の覆いの事。