工事現場を見学した後、大工さんの加工場を訪れました。
床に置かれている2本の木は棟持柱、樹種はイヌマキです。
上部が二又に分かれた木を選んで用います。
ここに棟木をのせるのです。
以前に石垣島(沖縄県)の宮良殿内(みやらどぅんち・重文・1819年)を訪れた際、ボランティアガイドの方から「沖縄の民家ではイヌマキが主に用いられていました」と教えていただいた事がありますが、加工中のイヌマキを見るのは初めてです。
その脇には矢切壁(注1)等に用いる杉網代が出来上がっていました。杉板の厚さは4㎜!
なんとも贅沢な材料の使い方ですね(注2)。(下写真は類似例・吉野ヶ里遺跡の復元建物 05年夏撮影)
何だ、この下駄のオバケみたいなモノは?!
と思ったら、高床式建物の階段でした。一木から削り出して作る階段の原形です。
建具や枠に用いるとのことで、加工場の片隅にクスノキが沢山積んでありました。
九州の木といえば、やはりクスノキなのでしょうか。
独特の芳香が、辺りに強く漂っていました。
上は藤の蔓から繊維を取り出しているところ。これで縄を結うのだそうです。
いずれも誠に興味深いですね。
(注1)矢切壁(やぎりかべ)とは切妻屋根の建物の妻面・梁上の三角形の壁部分を指す。
(注2)弥生時代当時、板を作るには木材を挽き割るしか方法が無かった為、現代のように板を薄くすることが出来なかったとのこと。