10月10日、設計者である竹澤古典建築設計事務所の竹澤要先生の解説をうかがいながら寒川神社社殿を見学するという望外の機会に恵まれ、喜び勇んで参加してきました(NPO木の建築フォラム主催)。
設計をするに当たり先生は旧社殿に数日間「おこもり」をされ、自らの身体に社殿の魂を植え付けようとなされたとか。曰く「社寺は人間には設計出来ません。神様が自分に下りてきて設計させてくださるのです」と。凡人の私には到底出来ないことです。
「社殿内部は母親の胎内の如く、外観は父親の如く」形を整えるとともに、蟇股・虹梁・錺金物等細部についても全て竹澤先生ご自身が原寸スケッチを描かれています。
先生は若い頃、師と仰ぐ建築家の角南隆氏から「最も美しい線は若い未婚女性の身体の線だ」と言われ、ヌードデッサンに足繁く通われたのだとか。屋根反りや軒反り、箕甲や破風廻りの流れるような美しい曲線は、そうした鍛錬が生み出しているのでしょう。
紙面の関係で触れられませんが、数年前に御本殿奥に整備された神嶽山神苑も一見の価値があります。
見学後は有志で近くの蕎麦屋へ。竹澤先生と後継であるご子息から貴重なお話をうかがいながら、楽しいお酒をいただき、満足して帰路に就いたのでした。
(木の建築フォラム通信 No.75 2013年11月30日発行 より転載 一部修正)