昨年の初秋、建築家・半田雅俊さんのご尽力で土浦亀城邸を見学することが出来ました。
たいした予備知識もなく、コルビュジェ風白い箱スタイルの物真似だろう、などとタカをくくっていたのですが、
実際に拝見して己の不明を恥じました。
確かにパラペットを立ち上げ緩い勾配屋根を隠すなど無理をしてキュービックな外観を作り出していますが、
敷地の高低差を上手く利用したスキップフロアによる明快な構成、住む人(おそらく夫人が対象)に優しく配慮された細部納まりの数々など、
とても70年前の住宅とは思えません。
長い年月を経て勿論傷んでこそいるものの、住宅としての構成は今でも十分に通用します。
と言いますか、この住宅は依然として現代住宅の規範となり得るのです。
70年前から何も進んでいない……、私達建築家はこれから何をどう作らねばならないのか?
帰り道にそんなことを自問していました。