川口通正さんは、社会の片隅でくすぶっていた私を表に連れ出してくださった大恩人です。
ご本人には照れ臭くてなかなか言えませんが、昔から私の憧れの建築家でもあります。
「幻燈」は、そんな川口さんの設計した住宅です。
4月23日、小雨そぼふるあいにくのお天気でしたが、さすが有名建築家・川口さん!入りきれないほど大勢の見学者が訪れていました。
敷地を完全に壁で囲い込み、複数の吹き抜け(坪庭)を配する興味深い構成です。
ヨコミゾマコト氏の美術館をちらと連想しましたが、ここでは概念そのままの単純な表現は巧みに避けられています。
部屋ごとの機能を優先して生まれた適度な凸凹が、平面的にも立体的にも有機的な様相を呈し、坪庭や切り取られた空は一枚の絵として演出されています。
あまりに心地よいので、見学待ちの人が大勢いるのにもかかわらず1時間近くも佇んでしまいました。
道路側は現代の町屋として実に端正にまとめられています。都市型住宅立面のひとつの解になりうるものです。
川口さんの伝統への想い(愛)を強く感じることの出来たとても有意義な一日でした。