家づくりの会では3年前から「家づくり学校」という若手住宅設計者を育成する活動を始めました。
1年生コースでは座学、同2年生では見学、同じく3年生では演習を中心とした講義を行い、いわゆる大学や専門学校では教えてもらえぬような実学(机上の空論ではない、講師陣が血と汗を流しつつ実際の仕事から学んだ知識)を、若い人達へ伝える事が目的です。
私も初年度からその運営に参加しています。
かつて住宅というものは住まい手自身が建てたり選んだりすることは出来ませんでした。一部の王侯貴族、豪農や豪商等、時の権力者や有力者を除いては。
いまや誰もが自分の家を比較的簡単に持てるようになり、それはそれで素晴らしい事だったのですが、反面、皆が自己の欲求を誰はばかることなく表明するようになり、そこには他者との関係性や我が国の伝統文化に対する考察がいささか不足していた為、かつての美しい街並み(それは封建的な社会体制と表裏一体のものだったのですが)が失われてしまいました。
個人的には、この学校を通じて一人でも多くの住宅設計者を育て、彼らが沢山の優れた住宅を作ることで社会環境の改善に寄与することが出来れば、と夢想しているのですが。
(NPO法人家づくりの会「家づくりニュース」2011年11月号より転載 一部修正)
(注)左写真は2年生「栃木の石」芦野石採石場にて。右写真は3年生「木造住宅の断熱設計」、講師は半田雅俊さん。